| 知のフィールドワーク 17 (スキージャーナル1996.2月号) |
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| プレイヤーの表情 |
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| NBA、NFL、NHL/バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー…。アメリカを代表する冬のメジャースポーツである。この中で青春時代ヨーロッパで生活していてサッカー一色(もちろん住んでいたのがオーストリアだったのでアルペンスキーも見るスポーツとしてはかなりの”地位”にあったが…)だった私が好きなものはNBAである。その理由は今、日本で流行っているからでもマイケル・ジョーダンがまた戻ってきたからではない(もちろん日本でも見る機会が増えたからという点では多少関係あるが…)。 たしかに”展開の早さ”があるスポーツのほうが好きだ。1ポイント入るごとに大男がコート上で抱き合っているバレーボールよりバスケットボールのほうが好きだし、試合中はピッチャー以外は運動していないような野球よりサッカーのほうが好きだし、同じような形の球を使っていてもコマーシャルのためにすぐ動きが止まってしまうアメリカンフットボールよりもラグビー(ただし、キックよりも動きの多い試合に限る)のほうが好きなのである。しかし、そうなるとアイスホッケーだってかなりエキサイティングだし、早い動きをし、運動量も多いということになる。そこで年が明けてぼんやり箱根駅伝を見ていて思ったのが”プレイヤーの表情”という要素である。もちろん駅伝やマラソンのように人間の苦しそうな表情をアップで長時間見せられるのもあまり気持ちのいいものでもないが、たしかに新たにあるスポーツに興味を持つとき、プレイヤーの表情がわかりにくいものよりも、どんな顔をして、どんな眼をしてどんなヘアスタイルをしているのかわかるもののほうが親しみやすい気がする。 こう考えるとヘルメットや防具に覆われて「エッ、こいつってこんな顔してるの!」なんてかなり有名な選手の顔もまったくわからないNFLやNHLよりスキンヘッドの汗の雫までわかるNBAなのである。そこでこの原稿は『ナンバー』なのではなく『スキージャーナル』なのでスキーについて考えると、ヘルメット、ゴーグル、サングラスといったさまざまなアイテムが、防寒対策に始まり、傷害対策、雪や日差しに対して、そして最近では可倒式ポール対策としてプレイヤーの表情を隠してしまっている。もちろんスキーというスポーツの持つ性格上、スピードに対する安全面からレース中にヘルメットや帽子をするなとは言えない。F-1でヘルメットを見ればセナであることがわかったように、それぞれのプレイヤーが個性を出せばいいのだから。しかし例えば、ゴールした後、できるだけプレイヤーは表情を見せるようにし、TVやスチールカメラマンは、その表情を撮るようにすることはもっとできはずだ。こういった努力の積み重ねに、グリュニンゲンやチュ−スには申し訳ないが、やはりトンバやコシール、オーモットが争うような展開になってくれば、スキーを見るスポーツとしてもまだまだメジャーにしていくこともできるはずなのだ。 今年の3月には白馬のワールドカップや野沢温泉の国際技術選で”仕事”をする私としては、「スキーは見るものじゃくやるものさ!」と諦めないで、プレイヤーの表情を少しでも多く見せられるスポーツとしてのスキーの可能性にまだまだ期待したい。 |
| 田和夫 1953年生まれ。現在の日本のスキー界でもっともドイツ語に堪能で、その活動は単に「通訳」という範疇を超えている。言葉だけでなく、心も拾い上げる貴重にして希有なタレントの持主 |