| 知のフィールドワーク 11 (スキージャーナル1994.7月号) |
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| スキーの魅力 |
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| スキーにはたくさんの魅力がある。100分の1秒を争う「競技」としての魅力。ワールドカップレーサーから草スキー大会出場者まで「速さ」に対する挑戦に魅力を感じている。次にスキーの「うまさ」に対する挑戦。この分野には、剣道・柔道の「段」やゴルフの「ハンディキャップ」に相当する「級」というものがある。タイムで実力がわかる競技に対し、うまさに絶対的な尺度はないのだが、この「級別テスト」というのが、自分のポジション(肩書き)や他人との比較を大切にする日本人スキーヤーにとって、また別な意味でのスキーの持つ魅力なのである。 そして、この速くなりたい、うまくなりたいという「2大モチベーション」以外にも、スキーの魅力はたくさんある。これほど多くの「マテリアル」を持ち誰もがそれらについて語ることができるスポーツも少ない。いkら世の中で人気が高くても、野球用具やサッカー用具だけ売っているスポーツ店は少ないが、スキー用品を中心に売っている店はその大半を占めている。また、「ファッション」もスキーが持つ季節性、日日常性のためか、スキーの持つ魅力の一つとなっている。こうしたニューモデルとニュートレンドでスキー場に行くときのワクワクする気持ちはまた格別なものがある。 さらに、スキーには「旅」がつきものである。スキードームから北海道、そして海を越えてカナダ、ニュージーランド、ヨーロッパアルプスまで、旅としてのスキーは広がる。どれも同じスキーではあるが、違ったスキーが味わえる。それはスキーの究極があくまで「大自然」の中で行うアウトドア・スポーツであり、スキードームとカナダのヘリスキーではまったく条件の違ったスキーを、その両方で楽しめるからである。またひとつ別の角度から見ると、この旅でありながらスポーツであるが故に、親に「友達と旅行に行くの!」というと「誰と?」と追求されるが、「友達とスキーに行くの!」というとあまり反対されないという利点がある。そして旅であるため、マリンスポーツ同様、スキー場という非日常的で(最近そうでもないところが多くなったが)ロマンチックなシチュエーションの中でのいわゆる「男女の出会い」に期待できるということが不純かもしれないが、やはりスキーの魅力のひとつであるといえる。 このようにたくさんの魅力を持つスキーはゴルフの19番ホール同様、実際にプレーをしていないとき、喫茶店でも居酒屋でもバーでも「スキー」というテーマでいくらでも話し込める。スポーツの中でこれほど誰でも守備範囲が広く、長時間、本来のフィールドとはまったく別の「席」で話ができるのはゴルフとスキーくらいだろう。つまりそれほど奥が深いのだと思う。少しスキー人口や購買力が落ち込んでいる「先シーズン」が終わり、「来シーズン」はまだというこの時期に、今こそもう一度「スキーの魅力」を再考してみる必要があるのではないだろうか。先シーズンは雪不足ではないはずだし、いわゆる経済不況だけではないと思うのだが・・・。 |
| 田和夫 1953年生まれ。現在の日本のスキー界でもっともドイツ語に堪能で、その活動は単に「通訳」という範疇を超えている。言葉だけでなく、心も拾い上げる貴重にして希有なタレントの持主 |