| 知のフィールドワーク 9 (スキージャーナル1994.4月号) |
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| ニホンゴハムツカシイ |
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| シドーキ、カイセン、カジトリ、ムカエカク、カドヅケ、コーゴソーサ、ドージソーサ、シンキャク、クッキャク、センコードーサ、ガイコーケー。日本のスキー用語の一部をカタカナで「音」の通り書くとこんな感じになるのですがどの程度理解できますか?ここまでむつかしい専門用語でないにしてもスキー教師が雪上講習でこういった言葉を使って指導して果たしてどれだけわかってもらえるのでしょうか?真剣に滑っているスキーヤーに「タニガワにもっとカジューして!」とか「ヤマカタもっと前!」と言っても余計乱してしまうかもしれません。 日本語のむずかしさとして「書く」(特に漢字)と何となく意味がわかるのですが音で「聞く」とまったく意味がわからないということがあります。また、スキーに限らず「体育関係者」(スポーツではなく体育)はみんなに楽しんでもらうスポーツまで「学術的臭い」をさせたくないらしく「上体」とか「脚」とかいう言葉をやたら使いたがります。受け手によっては「ジョータイ」と言われると「状態」という文字をイメージしてしまったり、「キャク」というより「アシ」と言ってもらったほうがよほどわかりやすいはずなのですが・・・。もちろん専門家だけの会話において、たとえば、「昔からスキーのエキスパートと呼ばれる人たちがスキー場の民宿で夜遅くまでウィスキーを飲みながらワリバシをスキーに見立ててスキー技術論にアツくなる時、その知識の深さを誇示するために専門用語を並び立てる」といった彼らだけの「スキーの楽しみ」を非難するつもりはないのです。ただ、こういった「専門用語」を一般のスキーヤーに伝達する場合、「わかりやすい言葉に「翻訳」できないのか」ということが言いたいのです。オリンピックのテレビ解説の「いいですよぉー」とか「なかなか速いですねー」にも困ったものですが(「いったいどこがいいの?」とか「速いのはラップタイム見ればわかるよ!」と言いたくなる)、「スキーが横になってますね」とか「エッジングが強すぎます」とだけ言われても、せっかくスキーというものに触れるチャンスを得た一般視聴者には何のことだかさっぱりわからないのではないでしょうか。 来年1月にはインタースキーが野沢で開催され、この秋には全日本スキー連盟のスキー教程も改訂されます。この機会に「スキー」をもっともっとわかりやすいものにする努力をすれば、スキーが誰にとっても身近で魅力的なものになるはずです。 |
| 田和夫 1953年生まれ。現在の日本のスキー界でもっともドイツ語に堪能で、その活動は単に「通訳」という範疇を超えている。言葉だけでなく、心も拾い上げる貴重にして希有なタレントの持主 |