UNITY Authentic Racing 2006-2007
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月刊スキーコンプ Vol.288 page48-51
月刊スキーコンプ 2004.1月号 Jr.RACERS BASIC PRACTICE
「ユニティスキーレーシングが提案するタイムアップのための基礎」第3回
日本のアルペンシーンの将来を担う中学生、高校生のジュニアレーサーたち。そんなジュニアレーサーたちに、これまで数々のレーシングシーンを作り上げてきたユニティスキーレーシングが、効率の良いトレーニングプランを提案する。


構成 / ユニティスキーレーシング(USR)

文 / 上林卓司(USRディレクター)、山田大介(USRコーチ)
モデル / 栗山太樹
写真 / 株式会社スキーコンプ編集部


■プロフィール

山田大介(やまだだいすけ)
1974年5月28日生まれ。愛知県出身。中京大学スキー部出身。大学を卒業するまで競技スキーを行い、卒業後は元スイスナショナルチームヘッドコーチのディーターバーチがプロデュースする「D.バーチレースアカデミー」での研修を経験し、ジュニアから社会人まで幅広いユーザーの指導にあたっている。


タイムアップのための基礎
もっとフリースキーを!

現在、マテリアルの性能は更なる進歩を遂げ、ジュニアレーサーでも容易にカービングターンを連続させながら滑り降りることが可能になっています。
しかし残念なことに、全てのジュニアレーサーが、スキーそのものの性能を十分に発揮しているとは言えないのが現状です。これまで2回にわたり、コンディショントレーニングの一部としてユニティスキーレーシングがジュニアキャンプで行っているストレッチや、ボールトレーニング等を紹介しながら、スキーをする為に必要な体の使い方について説明してきました。
今回はその動きを踏まえ、雪上トレーニングでのベーシックトレーニングを紹介し、よりシンプルで質の高い運動を目指します。
多くのジュニアレーサー達が雪上トレーニングで真っ先にイメージするのは、ポールトレーニングでしょう。とにかくポールの中を何本も滑り、ポールにアタックしポールが倒れることに喜びや優越感を感じる子供達は非常に多いのではないでしょうか? その殆どが「フリースキーはつまらない」、「すぐ飽きる」などと思っているジュニアレーサー達ですが、「フリースキーがつまらない」のはきれいに整地された同じバーンをただ漠然と何本も滑るだけだからなのです。

同じバーンでも、テーマを与え様々なバリエーションのフリースキーをおこなえば、1本1本目標を持って滑る事ができるので集中力が増し、あっという間に時間が経ち、もっと滑りたかったと感じられるようになります。と同時に、正しい体の使い方やバランスのとり方、そしてスキーの性能(たわみやグリップ感)を把握することが出来るようになります。また、整地されたバーンだけではなく様々な状況のバーンを滑ることで、自然に対応能力を高めることができ、あらゆる状況に合わせた滑りが出来るようになるのです。今、注目されている佐々木明選手は、幼少の頃はもちろん、現在でもあらゆる条件の中でスキーを楽しみ、それを自身の滑りのベースとして身体にインプットさせておくことで、コンディションに左右されることなくよりシンプルで質の高い滑りを行うことが可能になっているのです。
最近では、ヨーロッパのナショナルチームや日本チームも、ベーシックトレーニングとしてテレマークスキーでのトレーニングを積極的に導入し、バランス感覚や、アルペンスキーに通じる体の動き方を確認しています。このように、自身のスキー技術を向上させる為には、ポールトレーニングだけではなく、ベーシックトレーニングやあらゆる状況下でのフリースキーなどを通じて、自身の滑りのベースを作りあげていくことが重要になってくるのです。

今月はベーシックのバリエーショントレーニングの方法を紹介していきますが、個々の動作やスキーの性能を把握する為にも、まずは低速でトレーニングを行う事が重要になりますので注意してください。なお、解説は「D・バーチレースアカデミー」での研修を終えた山田大介に担当してもらいます。
(ユニティスキーレーシング上林卓司)



 ベーシックトレーニングの意識
今回は雪上でのベーシックトレーニングを、トレーニングの目的・トレーニングを行う上での注意点と共に紹介していきます。ベーシックトレーニングを、しっかりと目的を持って行う事により、運動パフォーマンスを向上させることはもちろん、故障や怪我の予防にもつながります。
著しい技術革新を続けるレースカービングスキーを使用することにより、ジュニアレーサーの技術レベルも滑走スピードも非常に高くなってきています。滑走スピードが上がるにつれて、ターン中の遠心力も大きくなり、体にかかる負荷も大きくなってきています。ジュニア期においては、タイムの短縮・レースでの結果だけを求めるのではなく、ベーシックトレーニングを行う中で正しい姿勢や体の使い方について習得することが非常に重要になってきます。
フリースキーの中で表現できない(行うことができない)運動パフォーマンスは、ポールトレーニングの中でも表現出来ないはずです。多くのジュニアレーサーが、フリースキーのベーシックトレーニングについてあまり良いイメージを持っていないと思います。
しかし、しっかりとした目的を持ってベーシックトレーニングを行うことにより、正しい姿勢や体の使い方を習得できれば、タイムの短縮につながり、最終的にはレースで良い結果を得ることができるようになります。フリースキーの中でのベーシックトレーニングとはいっても、トレーニングの最終目的はポールトレーニングにつながっているわけですから、ベーシックトレーニングの最終段階ではポールの中を滑っていることを想定して体の使い方を体得していく必要があります。
また、シーズンはじめで使用するマテリアルが変わった時などは、特にベーシックトレーニングが重要になってきます。ジュニアレーサーの中にはマテリアルの性能を十分に活かしきれていない、いわゆる“スキーに滑らされている”レーサーをよく見かけます。これは使用しているマテリアルの性能を十分に把握できていないので、どのような体の使い方をすれば効率良くスキーがたわんだりするのかが理解出来ていないのが原因です。

マテリアル性能を把握し、その性能を十分に発揮して、よりシンプルで質の高い運動パフォーマンスを行うためにも、今回紹介するベーシックトレーニングを活用してください。使用するマテリアルの特徴・性能を把握するためには、初期段階においては、整地で低速でトレーニングを行うことが重要になります。その後、不整地などの色々な状況の中で徐々にスピードを上げていくことで、より質の高い運動パフォーマンスを体得することが出来るはずです。


また、シーズンはじめに限らず、スランプに陥った時、スキートレーニングの間があいている時などに、姿勢の確認・正しい体の動きの確認を行う際にもベーシックトレーニングは有効になります。
今回紹介するベーシックトレーニングの中には、ストックを活用したり手を使ったりすることにより、姿勢や動きの確認ができるようになっている種目がいくつかあります。それを確認しながら滑ることによって、弱点の確認や改善方法も明確になりその克服も可能になりますし、バランス感覚や足裏感覚という点にも気を配りながらトレーニングを行えば、1本1本の成果も大きくなります。第1回・第2回で紹介したストレッチやバランスボール・バランスディスク・ストレッチポールを使ったエクササイズと組み合わせて行うことにより、より高い効果が期待できます。第1回で出てきた2つのポイントを思い出してみてください。第1のポイントは「動作は身体のある部分だけでなく、全身の連動した動きとして行われる」。第2のポイントは「体軸に対して斜め方向に動かし、さらに捻じれ動作が入る」パターンが多い。

この2つのポイントを考えると、雪上のポールトレーニングだけでは運動パフォーマンスの向上は望めません。ストレッチエクササイズ、雪上でのベーシックトレーニング、あらゆる状況の中でのフリースキーの全てを経験して初めてパフォーマンスの向上が期待できるのです。スキーに限らず、全てのスポーツに言えることですが、ジュニア期は単純に技術ばかりを追求するのではなく、あらゆる状況に対応する能力を高めていくことが世界のトップに近づく近道になるのです。




 バリエーショントレーニング1

 胸の筋肉と背中のストレッチ
手が自由に使えない種目では、ポジションの確認と下半身の動き(足首、膝、腰を連動させて角付けをする)が重要なポイントになります。

1 ストックなしで上体をリラックスさせるフリー
背筋を少し張り、骨盤を前傾させ腹筋の下部に力が入る姿勢を意識しやすくするために、ストックなしで上体の力を抜いてターンします。特に、肩・肩甲骨辺りの力を抜くように意識します。

2 手を
 腰にあてる
背筋を少し張り、骨盤が前傾した姿勢を意識するために腰に手をあてて滑ります。この時、腰の向きはスキーの進行方向を向けみぞおちから上の上半身はフォールライン方向を意識するように注意します。
3 手を頭の
  後ろで組む
背筋を少し張り、骨盤を前傾させた姿勢をキープしたまま手を頭の後ろで組むことにより、腰から下の下半身の動きが重要視されます。腰高のポジションを意識してセンターポジションをキープできるよう注意します。

4 手を
 膝にあてる
 →腰高を意識
手を膝にあてると上体が前傾して背中が丸くなり、骨盤を前傾させた姿勢が保ちにくくなりますが、腰を高い位置でキープし骨盤の前傾も保つようにします
5 ストックを
 肩に担ぐ
ストックを肩に担ぎ、腰背部の辺りに力をいれることを意識すると背筋が少し張り、骨盤を前傾させた姿勢が意識しやすくなります。

6 ストックを
 腰にあてる
 (後ろ)
骨盤のあたりにストックをあてることにより前傾をより意識しやすくなります。慣れてきたら腰の向きにも注意してみましょう。


体の動かし方を覚えよう
現在のスキー技術は、どうやってスキーを操作するか? というよりもどういうふうに体を使ってスキーを操作するかがポイントになってきています。皆さんはスキーの技術を考える時に、膝・腰・肩・腕をひとつの動きで考えていませんか?スキーに限らずスポーツ動作は一連の動作で動いているのです。スキーの動作で例えを挙げると、膝だけを内側に入れようとすると、X脚になりやすく、膝の内側を痛めやすくなります。腰だけを内側に入れようとすると、「腰が開く」状態になりやすいのです。なおかつ体軸が内側に傾いているため、内足に乗りやすくなり転倒の確率が高くなります。この2つで悩んでいる選手はたくさんいるのではないでしょうか?
ではスキー動作を一連の動きで考えてみましょう。

まず最初にスキーを行う為のポジショニングです。
体軸の中心である骨盤を前傾させます。前傾させることによって腹筋群に力が入りやすくなりボディバランスが保てるようになります。次に動作です。体の動かし方には2つのポイントがあります。
第1のポイントは「動作は身体のある部分だけでなく、全身の連動した動きとして行われる」ということ。イメージとして、ストックを持たないと感覚が変わるはずです。これは下半身だけでなく、上半身もしっかりと連動して動いているということになります。
第2のポイントはスポーツ運動において脚や腕は「体軸に対して斜め方向に動かし、さらに捻れ動作が入る」パターンが多いということ。この運動パターンは歩行をイメージしてみてください。手と足は必ず対角線上に動くはずです。ではひとつのターン時にどういう連鎖運動が行われてるか解析してみましょう。
1. 脚部を使った体重移動(雪面からの解放時)
2. 腰(股関節)の回転(体軸の捩れ)
3. 体幹部や肩(上肢)を使ったフォールラインの移行
4. 足関節からの雪面のとらえ(角付け・下肢の捩れ)
5. 膝・腰(股関節)を中心に体軸を斜めに倒す(らせん運動)
6. エッジング動作

という一連の動作になります。この動きの中で、弱いところや硬いところがあるとスムーズなスキー操作は難しくなります。下肢と体幹部、上肢と体幹部のつながりは重要ポイントになり、運動パフォーマンス向上させるためにも連鎖運動を中心とした動きをトレーニングに取り入れたほうがレベルアップにつながります。
今回はこの2つのポイントを基に、スポーツトレーナーの金田俊範氏が運動パフォーマンスの向上を目指すためのストレッチやエクササイズを紹介してもらいます。
(ユニティスキーレーシング上林卓司)


 動的ストレッチのススメ
ストレッチと一言で言っても、実はひとつの筋肉を静的に伸ばすストレッチと、色々な筋肉を一緒に動かすストレッチでは、効果が違ってきます。前者を「静的ストレッチ」、後者を「動的ストレッチ」と呼んでいますが、アルペンスキーの場合、常に筋肉の連動した動きが要求されることになり、できれば「動的ストレッチ」を実践してもらいたいものです。
動的ストレッチの場合、動きも大きくなりますので、ウォーミングアップとしての意味も大きく、特にジュニアレーサーには、様々な筋肉を同時に動かすことを覚える意味でも、動的なストレッチをお勧めします。今回は、体幹部分と股関節のストレッチを紹介します。



 体幹部分のストレッチ
1 背中とももの後ろを伸ばす
おしりをついて座り、つま先を両手でつみます。次に腹筋に力を入れて、ももとお腹をくっつけるようにします。そのままももとお腹を離さないようにしながら、ゆっくりと足を伸ばします。
足は伸ばしきらなくても構いませんので、きついところに来たら10秒止まります。次に、やはりももとお腹を離さないように、かかとを引き寄せます。できない場合は、片足ずつ行なって下さい。足を伸ばすときに、腹筋に力を入れると可動域が広がるのがわかります。3回くらい繰り返して下さい。

つま先を内側にして伸ばす
つま先を外側にして伸ばす
2 片足ずつヒザを伸ばす
1と同様ですが、今度は片足ずつ行ないます。つま先を内側へ入れた状態で伸ばすのと、つま先を外側に向けた状態で伸ばすのでは、ストレッチされる筋肉や関節の部位が変わってきます。

3 体幹背面(もも、お腹、腕)を伸ばす
仰向けに寝て、片足を上げヒザを逆の手でつかみます。腰をねじりながら、上げた足を内側に倒していきます。この時に、顔はねじる方向と逆に向けておいてください。ねじる方向と同じ方向に顔を向けていると、負荷が大きくなりすぎて、腰にダメージを受ける場合があります。また、腰が痛いときや故障しているときは、このストレッチは行なわないで下さい。
ヒザをつかんでいない方の腕のひじの位置で、伸びる範囲が変わります。ヒザを伸ばしてつま先を下げた状態で10秒止まり、逆も行ないます。

4 体幹前面(もも、お腹、腕)を伸ばす
うつぶせに寝て、片足を上げます。腰をねじりながら、上げた足を内側に倒していきます。この時に、顔はねじる方向と逆に向けておいてください。ねじる方向と同じ方向に顔を向けていると、負荷が大きくなりすぎて、腰にダメージを受ける場合があります。また、腰が痛いときや故障しているときは、このストレッチは行なわないで下さい。ひねった状態で10秒止まり、逆も行ないます。



 股関節のストレッチ
1 ももの内側を伸ばす
おしりをついて座った状態で、足首を引き寄せます。この時に、かかとが体にくっつくまでは引き寄せないで下さい。また、つま先は必ず開くようにして下さい。スキーの運動では、足首の関節が緩むことはないので、ここでもしっかりと足首は曲げておきます。そのまま上体を倒していきます。倒れた状態で10秒我慢して下さい。この姿勢が作れない人は、座布団などをおしりの下に敷くと良いでしょう。

2 腰の前とももを伸ばす
片方のヒザを立ててもう一方の足のヒザをつきます。立てたヒザに両手を乗せて、腰の前の筋肉を伸ばします。次に手で足をつかみ引きつけももを伸ばします。最後に手を使わずにかかとを引き寄せます。それぞれ10秒ずつ止まって下さい。

3 腰からおしりの筋肉を伸ばす
片方の足を後ろに伸ばし、一方の足を内側に曲げます。その曲げた足と同じ方向に体をかぶせていきます。かぶせた状態で10秒止め、逆も行ないます。

4 おしり側のハムを伸ばす
仰向けに寝て、片方の足を曲げて組みます。組んでいない方の足を手でつかみ、腹筋を使って丸くなります。おしり側のハムストリングが伸びます。丸くなって10秒止め、逆も行ないます。

5 ヒザ側のハムを伸ばす
仰向けに寝て、片方の足を手で持ち上げます。そのまま、ヒザをゆっくりと伸ばしていきます。コツはももの筋肉を使って動かすことです。その後は何度もゆっくり曲げ伸ばしします。逆の足も行ないます。

6 股関節を動かす
足を開いた状態で座ります。お尻をついた状態で、両足がM字状になるようにします。ヒザをひねって内側に入れます。両足を行ないます。
 



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