UNITY Authentic Racing 2006-2007
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月刊スキーコンプ Vol.289 page52-55
月刊スキーコンプ 2004.2月号 Jr.RACERS BASIC PRACTICE
「ユニティスキーレーシングが提案するタイムアップのための基礎」第4回
日本のアルペンシーンの将来を担う中学生、高校生のジュニアレーサーたち。そんなジュニアレーサーたちに、これまで数々のレーシングシーンを作り上げてきたユニティスキーレーシングが、効率の良いトレーニングプランを提案する。


構成 / ユニティスキーレーシング(USR)

文 / 上林卓司(USRディレクター)、山田大介(USRコーチ)
モデル / 栗山太樹
写真 / 株式会社スキーコンプ編集部


■プロフィール

山田大介(やまだだいすけ)
1974年5月28日生まれ。愛知県出身。中京大学スキー部出身。大学を卒業するまで競技スキーを行い、卒業後は元スイスナショナルチームヘッドコーチのディーターバーチがプロデュースする「D.バーチレースアカデミー」での研修を経験し、ジュニアから社会人まで幅広いユーザーの指導にあたっている。


タイムアップのための基礎
ジュニアレーサーの今後の課題

これまで3回にわたり、現在のジュニアレーサーに必要となるコンディショントレーニングや、雪上でのベーシックトレーニングついて紹介してきました。これらのトレーニングは現在のカービングスキーを自在に操り、その性能を最大限に発揮しながら滑走するために必要不可欠なものです。そしてこれらのトレーニングは、ジュニア期におこなってしまえば終わりということではなく、選手を続けている間、そのトレーニングをなるべく取り入れ(特にオフシーズンおよびシーズンインのトレーニング)、その精度を完全なものにしていくことで、スキー技術の幅が広がり様々なコンディションでの対応能力を身につけることができるのです。
トップ選手の滑りは非常にシンプルで質の高いものになっていますが、その土台の運動(動作)を支えているのが、これまで紹介してきたコンディショントレーニングやベーシックトレーニングなのです。
我々ユニティスキーレーシングでは、技術向上の基礎でもあるこれらのトレーニングの重要性を再認識し実行していくことが、これからのジュニアレーサーを育成していくにあたっての重要なポイントになると考え、キャンプを行なっています。カービングスキーの性能を最大限に発揮しながら滑走するためには、運動パフォーマンスを十分に発揮できる「基本姿勢」をベースに上半身をリラックスさせ、下半身(腰、膝、足首、つま先)を意識した角付け動作でスキーを効率良くたわませ、スキーに溜まったリバウンド(たわみエネルギー)をタイミングよくフォールライン方向に絡ませながら使っていく必要があります。
今回は、トップ選手が行なっている「シンプルで質の高い運動」を目指してがんばっているジュニアレーサーの滑りから、今後の課題と改善点そして個々の滑りの良さを、USRコーチングスタッフの山田大介に解説してもらいますので、ぜひ参考にしてください。
(ユニティスキーレーシング上林卓司)



小さいことの積み重ねが運動パフォーマンスの向上に
前回はレースカービングスキーの性能を最大限に引き出し、運動パフォーマンスを向上させるために必要な、雪上でのベーシックトレーニングについて紹介しました。今回はそのベーシックトレーニングを踏まえた上で、日本のジュニアレーサーの滑りを例に、優れている点、改善点、今後の課題について解説していきます。

では、アルペンスキーにおける運動パフォーマンスの向上とはどのようなことなのでしょうか?
スキーというスポーツは自然の中で行なわれるものであり、常に状況が変化している中で行なうスポーツです。その中でもアルペンスキーは、1つのコースの中に斜面変化、ポールセットのリズム変化、雪質の変化、また、ひとり滑るごとに溝が深くなるなど、ひとつとして同じ状況はないと言えます。その刻々と変化するさまざまな状況を視覚で捉え、瞬時に判断し対応していく複合的能力が求められるわけです。
あらゆる状況に対応するために重要なのは、骨盤を前傾させ、腰を常に高い位置でキープし、前後左右に動きやすい姿勢をとるという事です。
もちろん個々の体格・骨格の違いもありますし、ジュニア期においては成長の度合にも違いがあるので、トップ選手の滑りの形だけを追い求めるのではなく、個々の体格・骨格・成長の度合に合った正しい姿勢をとった上で滑りを作り上げていく事が、運動パフォーマンスの向上なのです。

正しい姿勢で、常にスキーの真ん中に立つという運動パフォーマンスのベース(土台)が確立された上に、様々なテクニックが成り立っているのであり、その土台なしには運動パフォーマンスの向上は望めないことはもちろん、怪我や故障などを起こす確率も高くなってしまいます。ジュニア期にしっかりと土台を作り上げていくことは、世界のトップに近づくためにも不可欠になってきます。
次に理想のスキーの動きと、スキーヤーの運動を解説していきましょう。まず上半身と下半身の境目は、股関節から上と下ではなく、みぞおちから上と下という点を踏まえた上で、ターン後半(切り替え動作の手前)では腰の向きはスキーの進行方向、みぞおちから上の胸の向きはフォールライン方向を指示していることが重要になってきます。腰の向きをスキーの進行方向にキープすることにより、スキーの前後差をなくし両スキーに効率よく力を伝え、スキーをたわませる事が出来ます。腰の向きがフォールライン方向を向いて(腰が開いて)いたり、逆にスキーの進行方向よりも山側を向いて(ローテーションして)いるとスキーに前後差が生じ、両スキーに効率よく力を伝えることが出来なくなってしまいます。

みぞおちから上の胸の向きはフォールライン方向を指示していますが、これはターン弧が深くなるにつれてスキーの進行方向に近づいてきても構いません。ターン弧が深くなり、スキーの進行方向がフォールラインに対して横になっているのに、無理してフォールライン方向を指示しようとすれば腰が開いてしまうことになり、スキーに効率よく力を伝えることが出来なくなるからです。
ただ、フォールライン方向への指示の意識がなくなるとローテーションしてしまう選手が多いので、方向指示の意識だけはなくさないようにします。切り替え時には、上半身で指示しているフォールライン方向に、身体を落とし込んでいきます。
この時、骨盤が前傾した正しい姿勢をとれていないと、身体をフォールライン方向に落とし込んでいくことが出来ないので、滑走中は常に正しい姿勢をキープするように注意します。フォールライン方向に体を落とし込んでいくことにより、スキーと身体がクロスオーバーして、切り替えが行なわれます。切りかわってすぐスキーに対して力を伝えていくのではなく、スキーがフォールライン方向に向いて(落下して)くるまで待ってから、スキーに対して力を伝えるようにすると、効率よく身体を落としこむ事が出来ると同時に、ロスの少ない効率的なエッジングが可能になります。
切り替え時手前で腰の位置が低くなり、膝だけで切り替え動作を行なう選手が多いのですが、身体を効率よく落とし込んでいくことが出来ないだけでなく、怪我や故障につながりやすいので、骨盤を前傾させて腰を高い位置でキープするという正しい姿勢は、どのような状況でも重要になってきます。

またフリースキーのようにターン弧の規制がないという状況だけでなく、ポールトレーニングでターン弧の規制がされている状況にも対応出来るよう、フリースキーの中でいろいろなリズム・ターン弧で滑ることも必要になってきます。どれくらい身体を落とし込んでいけばどれくらいのターン弧になるか、スキーに対して力を伝えていくタイミングを変えるとターン弧はどのように変わるかなど、自分が使用するマテリアルの性能・特徴をフリースキーの中で把握することも重要です。
いつも同じ、自分の得意なターン弧・リズムでフリースキーを繰り返すのではなく、不得意なターン弧・リズムで滑り、改善しようとしていろいろと試してみる事が運動パフォーマンスの向上につながります。ハードパックされた状態の雪質だけではなく、パウダースノーやコブ、緩斜面、急斜面、片斜面などさまざまな雪質や状況の中で滑ってみることも、運動パフォーマンスの向上には欠かせないトレーニングです。
また、普段から足裏や脛と脹脛、腕のバランス感覚などを敏感にしていると、自分の弱点が明確になるだけでなく、弱点の克服にもつながってきますので試してみてください。最初はなかなか感覚がつかみにくいかもしれませんが、わからないなりに感覚を敏感にしていると、自然とわかるようになってくるはずです。小さいことの積み重ねが、運動パフォーマンスの向上につながっているのです。ただ漠然とフリースキーとポールトレーニングを繰り返すのではなく、ジュニア期でも自分で考え、自分で感じながらトレーニングを行なわない限り、世界のトップに近づくことは出来ません。
では実際に日本のトップ選手の滑りを見ていきましょう。


 全国高等学校スキー大会1

全国高等学校スキー大会 回転2位

花田 雄司 選手(札幌第一高校)

全体を通して骨盤の前傾は保たれていますし、上体の向きもフォールライン方向を方向指示できています。しかし、ターン後半(切り替え動作手前)で腰の位置が低くなり、腰が高い位置でキープできていません。それによりスキーに溜まった圧を有効に次のターンにつなげられていません。ターンの全体を通して腰高のポジションをキープするようにしましょう。

全国高等学校スキー大会 回転3位

西川 哲郎 選手(青森山田高校)

腰から上の上半身が前にかぶり過ぎる動きが見られます。それにより前後左右に動きやすい姿勢が常にキープ出来ておらず、6番目の写真でバランスを崩す結果につながっています。スキーから見て、足首が前傾している状態での脛と腰から上の上体の角度が常に平行になるようにしましょう。そうすれば前後左右に動きやすい姿勢がキープしやすくなります。

全国高等学校スキー大会 回転4位

星 隆裕 選手(八海高校)

両足を同調させて角付け、解放動作を行なっていますが、全体的に腰のポジションが低く、ポジションにばらつきが見られます。角付け動作をする際に腿を寝かせるのではなく、足首の前傾角度をキープした状態で角付け動作ができるようになると、常にセンターポジションをキープすることが可能になり、滑りに安定感がうまれます。


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